さいちゃんの教会音楽な日々 -25ページ目

コンサート前日というのは…

 第3回マティネーもいよいよ明日。コンサート前日ぐらいは練習に集中したいのだが、自分が企画しているコンサートだと必ずといっていいほど企画上の雑用が入って、練習時間を削るか睡眠時間を削るかしないといけなくなってしまうことが多い。

 今日の雑用は「プログラム作成」である。本当は昨日作りたかったのだが、練習していて家に帰ってきたのが真夜中近かったため、断念した。とりあえず今日は夜9時前には帰って来て、調子の悪いPCに向かう。キーボードが不調で、勝手に変な文字列を打ってくれたりする状態なので、これで文章を作成するのはものすごく疲れそうだなぁ、と思いながら…。


 今までは曲順と、作曲家について簡単に書いたプログラムを作成していたのだが、今回は一緒に演奏するリコーダー奏者、SKさんが自分のプロフィールをプログラムに載せたいとのこと。今日の午後、合わせをした時に「原稿をファックスで送るね」と言ってくれていたのだが、機械にエラー表示が出ていて見事に届いていなく、留守電にSKさんから「送れないよ~」とメッセージが入っていた。仕方がないので、すぐに電話して留守電に「今帰ってきたから、もう一度送ってみて」とメッセージを残す。

 ややしばらくして、ファックスが無事届いた。が、一行目が切れているように思えたので、すぐに折り返し電話してみる。今度は本人が出たので、内容確認。やっぱり切れていた部分があった。短く確認して、受話器を置く。これで一応、入力する内容はそろったので、プログラム作成開始。


 まずは前回のマティネーのプログラムファイルを出してきて、ロゴとか使えるものはそのままにして、あとは打ち直していく。日付、作曲者名と生没年、曲名…。演奏者名にSKさんの名前を追加。次回マティネーの宣伝もプログラムの隅っこに入っているのだが、それも6月のデータに打ち直す。

 ここまでは大して時間をとらなく、30分強ぐらい。(PCがもし好調なら、もっと速く出来たはずである。)大変なのが、作曲家についての説明である。有名な作曲家ならまだしも、マイナーな作曲家に関しては聴衆も何者か知りたいだろうと思うので、第一回から一応プログラムにつけることにしている。以前なら、音楽辞典で調べて自分でまとめないといけなかったのだが(しかもドイツ語で!!)、世の中は便利になったもので、最近はインターネットサイトに掲載されている。よほどマイナーな作曲家を扱わない限り、コピー&ペーストでデータがそろってしまうのだ。ただし、バラバラのサイトから集めてくると、書き方も長さもバラバラになってしまうので、文章に手を加えて長さや内容をそろえるようにしている。(もちろん、手を加えることで著作権の問題もクリアしようという魂胆^^;)

 今回はマイナーな作曲家が多く、音楽大辞典(英語ならNew Grove、ドイツ語ならMGG)クラスの辞典でないと載っていないような作曲家もいたので、果たしてインターネットで全員見つかるか心配だったのだが、バラバラのサイトとはいえ、ちゃんとそろったからスゴイ。(というより助かった…。MGGは持っているが、不精な私が自分で調べてまとめるのは大変だからして^^;)検索してサイトを見つけ、文章をコピペして、手を加えること約1時間半、ようやく納得のいく形になる。


 さて、いよいよ演奏者のプロフィールなのだが、SKさんのはそのまま入力するだけだからもちろん問題ない。でも、まさか彼女のだけ載せるわけにもいかないから、自分自身のを作成しないといけないではないか。(しかもドイツ語で!!)そんなもの近頃書いたことあったっけ、などと大焦りで考えてみたら、そういえば去年リューネブルクの聖ミヒャエル教会でオルガンを弾いた時、なんかドイツ語でも提出したような気がする…。てなわけで、PC内を探してファイルを出してきた。

 しかし、このプロフィールはSKさんが送ってきたのよりかなりおおざっぱで短いので、SKさんのを参考にして文章を付け加えてみる。にしても面倒くさいのなんのって!!だいたい、何でも屋の教会音楽家なんだからして、今までやって来たことを全部書いたらものすごく長くなってしまうのだ。結局、今回はオルガニストとしての出番だからして、オルガンに重点をおいたプロフィールにまとめる。

 プロフィール入力・作成に1時間。PCの相変わらずの状態にイライラしながら、終わった時にはスペルミスをチェックする気力もないほど疲れきっていた。聴衆の皆さん、間違ってたらごめんなさいm(__)mマティネー前に教会でコピー出来るように、プリントアウト。


 これでようやく雑用が完了し、寝られる状態になる。珍しく練習しすぎて痛くなった肩にペタペタと特効薬の貼り薬をくっつけて、さあ、寝るぞぉ~!!(←って、こんなに気合入ってて眠れるんだか!?)

ダイヤモンド婚式!です☆

 土曜日の朝から出動。今日は11時からKLさんのダイヤモンド婚式である。結婚60年!!しつこいようだが、つくづくすごいと思う☆

 折りしも晴れ渡ったいいお天気で、素晴らしい「ダイヤモンド婚式日和」である。お天気にも祝福されていていいなぁ、と思いつつ。

 10時半に会場の教会に着いたのだが、よぉ~く考えてみたらオルガンシューズを持ってくるのを思いっきり忘れていた。近頃、なんてたるんでるんだろう、と自分で自分を責めながら、仕方ないので普通の靴で弾くことに。ソロでシュッツの"Ich will den Herren loben allezeit"(すべての時に主をほめたたえたい)を歌うMKさんとオルガンで一度合わせた後、楽器をバスリコーダーに変えて(笑)アンサンブルに加わり、ヘンデルの合わせ。「花火の音楽」のリコーダー編曲である。教会内が寒いので、調律に一苦労。

 11時近くなって、KLさんご夫妻と参加者が会堂に入ってきた。KLさんのご主人は車椅子での参加である。

  

 11時の鐘が鳴って、リコーダーアンサンブルの前奏。ちょっと吹かないでいるうちにまた寒さで調律狂っちゃったよ、と内心ぼやきながら、息の具合で音程を調整。何せ私は今回唯一のバスリコーダーなのだ。低音が狂っちゃうと他のパートが大変である。

 何とか前奏が終わって、牧師の挨拶の間に大急ぎでオルガンのところへ移動。1曲目の讃美歌はEG334"Danke fuer diesen guten Morgen"(この良き朝に感謝)。ドイツの教会ではもうほとんど定着したとはいえ、元気のいいポップ調の新しい讃美歌なので、80代のご夫婦にしてはなかなかモダンな選曲!?と思いながら、楽しく伴奏。  

 祈りと黙祷、詩篇朗読があって、次の讃美歌はEG391"Jesu, geh voran"(イエスよ、先に立って)。人生の道の先に立って導いてください、という歌詞が、手を取り合って長い道のりを共に生きてきたKLさんご夫妻と重なる。

 説教テキストは詩篇118編の「主に感謝せよ。彼は慈しみ深く、良きものは永遠だから。」の部分だった。結婚60年…ということは、このお二人が結婚したのは1945年だった、ということに言われてようやく気づいた私であった。まさに終戦直前で、受難の金曜日にお役所での手続き、復活祭に結婚式だったのだという。KL夫人は現在のチェコの出身ときいて、プログラムに印刷されてある旧姓に目がいく。確かに東欧系の名前だ。大変な時代を共に生き抜いてきたお二人なのだと改めて思う。

 病気のご主人は今でこそ滅多に公の場所には顔を出さないが、長年の教会役員で、最後にはトップである議長を務めていたのだという。ヴュルテンベルク州教会で大きな働きをした奉仕者に贈られる、ヨハネス・ブレンツ・メダルをもらったこともあると聞き、素晴らしい活動をなさった方なのだなと知った。新参者の私が以前の話を知らないだけなのだ。現在の教会の主だったメンバーが顔をそろえてお祝いに駆けつけているのも頷ける。

 

 説教を通してお二人の歩みに思いをはせたところで、MKさんのソロで伴奏をする。それから牧師によるご夫妻の祝福。結婚の時と同じように、手を重ね合わせて祝福を受けるお二人の気持ちはどんなだろうと想像してみる。

 そして再びリコーダーアンサンブルの出番なので、慌ててバスリコーダーの準備。結構派手で元気のいい曲なので、みんなはりきって楽しく吹いた。それからとりなしの祈り、そして主の祈り。主の祈りの後にすぐ讃美歌なので、また慌ててオルガンの前に戻る。

 最後の讃美歌はお祝い事の時の定番、EG317 "Lobe den Herren, den maechtigen Koenig der Ehren"(栄光の力ある王、主をほめたたえよ)。やっぱりこれが来なくっちゃお祝いの礼拝じゃないよね、と思いながら輝かしい音色を使って伴奏。そして、祝祷・アーメン唱。

 オルガン後奏は、イタリアの作曲家Zipoliの派手(で簡単^^;)な曲にした。これはかなり好評で、早速KL夫人がお礼を言いにすっとんできて、ついでに曲名を聞き出していった。他にも何人かに聞かれたところを見ると、余程印象に残ったらしい。(カトリックのミサ用に書かれた曲なのだけど、やっぱりカトリックの礼拝音楽は華やかなものにしても悔い改めのものにしても、わかりやすく雰囲気を作ってくれると思う私。)

 

 全体として、とても素敵なダイヤモンド婚式の礼拝だったと思う。人づてに聞いたのだが、60年前の結婚式の日もこんな青空だったとか。

 お二人がこれからも手と手を取り合って、人生の日々を長く過ごせるよう、心からお祈りしたい。

ほめられる方が怖い…(汗)

 イースターの月曜日、ドイツは祝日である。今日の仕事が終わるとやっと一息…なのだけど、この猛烈な連続お仕事のせいで、疲れている上、ろくに準備していなくて、正直なところほとんど全部ぶっつけ本番。牧師はお隣の教会と交換講壇なので、昨日の説教をそのまま使えるのだけど。いいなぁ、とか思いつつ…。

 今日の1曲目の讃美歌はEG108「淡い喜びをもって」。(日本語では讃美歌21の321番)昨日使いそこなったネタ、コンチェルトで即興してみるが、どうも構想がちゃんとまとまらないまま始めてしまったので、危うく迷子になりそうになる。何とかごまかして讃美歌に入るなり、やってしまった平行5度。嗚呼もうボロボロではないか、と思いながら、一般の礼拝参加者にはわからないのをいいことに平然と伴奏しつづける私。こんなだから即興上達しないんだよなぁ…(自爆)
 途中に出てきたEG110番「世界の全て、イエス・キリスト」も謎の讃美歌で、れっきとした教会旋法の讃美歌なのに、メロディーに突然「導音」が出てくる。この導音はやっぱり、後代の人が付け加えたのか?などと考えているうちに、伴奏の和声付けも見事に教会旋法と長短調の混ざった、様式不明の和声付けになってしまった。あ~あ…(沈没)
 一事が万事、こんな調子だったので、「十字架を通らねば、復活はありえない」ことをテーマにした、お隣の教会のS牧師の説教がとてもよかったのが唯一の救いか。

 礼拝の後奏を引き終わって帰り支度をしていたら、初めて見る女性が二人、2階席のオルガンのところに登ってきた。親子のようである。「今日のオルガン奏楽、とてもよかったと思うので、オルガニストの顔を見に来ました」だそうで…ニコニコして返事をしながら、内心真っ青。いやぁ、これだけ適当にやっちゃって、ほめられるのは正直言って怖い(((;゚Д゚)))
 そりゃ無論、プロとアマチュアとの差の一つは、準備時間が短くてもそれなりのレベルのものが提供できる、ってところにあるのはわかってる。でもだからって、こうまであれこれやらかしたあげく、ほめられていいということにはならないのだ。深く深~~く、仕事ぶりを反省させられた今日の私であった…_ _;

イースタースペシャルです^^;

 早く起きねばならないと思うと眠れないことはよくあるが、更に冬時間→夏時間への切り替え日で1時間早く起きなくては、と思うからもっと眠れない。1時間ごとに目が覚めてしまって、おそろしく寝不足のまま起き出すハメとなる。

 朝6時(昨日まで朝5時だった時間_ _;)から、うちの隣の教会で礼拝のお仕事。復活祭(イースター)の夜明けに行なわれるこの礼拝は、ルター派の伝統にのっとった美しい典礼で、ろうそくの灯りのみで厳かに行なわれる。個人的にはかなり好きな礼拝である。(朝早いことを除いては^^;)
 この教会では、牧師のほかに典礼歌を歌える司式者がわざわざ特別にやって来る。教会の灯りは全て消してしまって、教会の扉の前で礼拝を始めるので、私はみんなが会堂に入ってくるまで、夜明け前の暗闇の中、オルガンの前でじ~~っと待っていなくてはならない。6時の鐘と同時に、外で礼拝が始められ、「復活の火」が焚かれた。待機している私には言葉は聞こえないが、「夜」…暗闇の中で神が世界を変える出来事を行なわれた、という聖書の箇所を、創世記から順を追ってたどっていっているのである。そして「イエスの死」が語られ、キリエを歌っているのが聞こえた。
 有名なヨハネ福音書の「光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光に勝たなかった。」という箇所の朗読とともにろうそくに火が灯されるのだが、そのろうそくを持った司式者を先頭に、みんなが会堂に入ってくる。3度立ち止まり、「キリストは世の光」という典礼歌を司式者が歌い、他の参加者は「ハレルヤ」で答える。
 祭壇の大きなろうそくに司式者の手で火が灯され、復活の讃歌(Exultet)が歌われる。「喜べ、天使たちよ、天の大軍よ!神の大いなる業をたたえよ」で始まる、美しい典礼歌である。それが終わると、参加者一人一人のろうそくに火が灯される。ろうそくの暖かい光が会堂内に広がっていく。
 そしてオルガンの出番はグローリアから。譜面台の灯りをつけて、司式者の「いと高き神に栄光あれ」という典礼歌に答える形で弾き始める。復活祭の40日前から始まる受難節の間中、歌われなかったグローリアが教会の鐘とともに「復活する」のがこの瞬間である。
 その後はイエスの復活後の物語が朗読され、合い間に「ハレルヤ」や復活祭の讃美歌を歌うのを伴奏する。歌のタイミングをはずすと、礼拝自体の流れが中断してしまうから結構緊張。
 復活祭は伝統的に洗礼を受ける日でもあったから、洗礼について触れ、そして使徒信条で信仰告白。そして、聖餐があった。復活前ではなく、復活後の物語と重ね合わせた洗礼および聖餐理解は角度がまた違うので、興味深いなと改めて感じた。
 聖餐後、再び司式者と牧師を先頭に、自分のろうそくを手に復活祭の讃美歌を歌いながら、みんなが外へ出て行く。そして教会の扉の前で祝祷が行なわれ、礼拝終了。
 久しぶりにこの礼拝に参加して、儀式とは何かということを改めて考えさせられた。キリストの復活については、教会に行っていれば繰り返し聞かされているが、本当に復活祭の日の夜明けに、暗闇の中に光を灯すこの礼拝に参加すると、言葉ではなくて身体で教えを感じ取ることが出来る。頭と身体のバランスが崩れて、頭でっかちになっていることが様々に指摘されている私たち現代人にとって、「儀式」は意外に重要なことを教えてくれているのかもしれない。

 さて、ピンチヒッターの仕事はここまでで、本来の仕事場、ホイマーデンへ向かう。ホイマーデンでは朝8時から墓地で復活祭礼拝をしているが、この墓地にはオルガンがないため金管アンサンブルが出動していて、私はお役御免になっている。10時からがメイン礼拝で、私のお仕事である。
 どうせ早く起きたので、早めに行って2つの礼拝の合間に行なわれている朝食会に顔を出した。ずいぶんたくさん人が来ていて、"Frohe Ostern!"(楽しいイースターを!)の挨拶を交わしつつ、コーヒーとパンとハムの朝食をいただく。
 みんなより一足早く、準備のために会堂に入ったら…オルガンの椅子の上に、ちっちゃなうさぎが3匹並んでいるではないですか。か~~わ~~い~~い♪教会員のMさんからの、私へのプレゼントのうさぎチョコであった。なぜかその下に、お煎茶のパックも…^^;(どこで手に入れたんだ!?)
 今日の一番目の讃美歌はEG103番「高き王座にいます神はほむべきかな」。復活の喜びにあふれた楽しい讃美歌なので、前奏はコンチェルト形式で即興?と考えていたのだけれど、礼拝10分前に考えが変わった。やはり復活のメッセージを伝えねば!てなわけで暗闇の中に日が昇り、讃美歌のメロディーが「光」として差し込んできて派手に盛り上がる、イースタースペシャル即興に急遽変更。無論ぶっつけ本番^^;
 これは大好評だった。「暗いお墓に日が昇り始め、光り輝くのが絵になって見えたわよ!」と礼拝後のフィードバック。即興で、ちゃ~んと言いたいことが伝わるのは嬉しいよね~~♪おまけにお天気が礼拝前はどんよりとしていたのに、なぜか礼拝中に晴れたもので「前奏で太陽を連れてきたのね」と冷やかされてしまった。(←私は超能力者かい^^;)

 そんなこんなで2本の仕事、無事完了。ただし、帰ってきたら即座にベッドに倒れこんで、寝てしまったけれど^^; あと1日でハードな一週間が終わる!ので頑張ろうと思う。

今度は純粋に嬉しい依頼^^

 月曜日の午前中は、何が何でも「休むぞ~!」と決めているので、まず電話に出ない私なのだが、今朝もしっかり居留守を使っていたら、留守電に仕事の依頼メッセージが吹き込まれていた。リコーダーアンサンブルの指揮者Kさんからで、アンサンブルメンバーのKLさんが4月2日にダイヤモンド婚式を教会で行なうので、オルガンを弾いてもらえないだろうかというのである。
 KLさんはアンサンブルでも最年長のメンバーで、80歳前後(のはず)。確かご主人が病気を患っているのだが、ご本人は至って元気である。趣味でイタリア語を習っていて、かなりのレベルだと聞く。私が勤務しているホイマーデン教会の、お隣のプロテスタント教会の会員である。
 4月2日は空いているので、Kさんに電話して引き受ける旨を伝えた。ダイヤモンド婚式といえば結婚60年!!まだ結婚すらしていない私には見当もつかない遠いことのように思えるが、なんにせよ素晴らしいお祝いである。リコーダーアンサンブルも参加し、Kさんの娘さんも礼拝の中でシュッツの曲を歌うとのこと。素敵な礼拝になるといいなと思う。