教会選挙!! | さいちゃんの教会音楽な日々

教会選挙!!

 今日は何と、6年に1回の




 教会選挙 の日。




 もちろん、投票に行ってきた。


 個々の教会の役員選挙と同時に、州教会議会(Landessynode)の議員選挙も行われる。
 私は仕事のせいで、自分の会員籍のあるヴァンゲンの教会にほとんど行っていなくて、人もよく知らないので、役員選挙は本当はホイマーデン教会で参加したかった。しかし、その手続きはなんと6月か7月に済ませなくちゃいけなかったとかで…気付いた時は手遅れだったのである。6月か7月なんて、引っ越しが決まったばかりで選挙のことなんてまったく頭になかった…_ _;
 仕方がないので、知らないなら知らないなりに、立候補者の写真と抱負の載った紙を参考にして、男女比も考えて、ヴァンゲンで投票した。

 州教会議会の議員選挙というのがまた、政治の選挙そっくりで面白い。州教会の中に、様々な方向性を持って活動しているグループがある。政治でいうと政党にあたるわけなのだけど、そのグループがそれぞれの教会運営のビジョンを打ち出し、選挙区ごとに立候補者を擁立して選挙にのぞむのである。
 私の選挙区では3つのグループが立候補者を出していた。"Lebendige Gemeinde"(生き生きとした〔教会〕共同体)、"Offene Kirche"(オープンな教会)、そして"Evangelium und Kirche"(福音と教会)である。それぞれのグループが、神学者(牧師)1人、一般信徒1人の立候補者を擁立していた。
 投票する方は、神学者(牧師)に1票、一般信徒に2票投じることが出来る。一般信徒の方の「2票」は、特に推したい人に2票投じてもいいし、1票ずつ2人に投じてもいい。
 事前に各グループの教会運営のビジョンのチラシを読んだのだけど、どうもこれといったグループの特徴が読み取れない。「世代を超えて、若者にも老人にもオープンな教会」とか、「子どもが来やすい教会に」とかのビジョンならどこのグループのチラシにも書いてあるし…_ _; 似たようなことが書いてあるってことは、現在の教会に対する問題意識は共通、ってことなのかしらん…と思いつつ、各グループのホームページを見てみたら…ようやく違いがわかり始めた。
 "Lebendige Gemeinde "(生き生きとした〔教会〕共同体)は、福音派の影響を受けた、保守的な信仰のグループのようである。いわゆる「信仰熱心なクリスチャン」グループのようだ。一方、"Offene Kirche "(オープンな教会)は同じ信仰でも現代の神学理解を重視し、信徒のためだけではない「全ての人のための」教会を目指すグループ。この2つの大きなグループが、議席数でも1位と2位を占めている。一方で"Evangelium und Kirche "(福音と教会)は「教会の運営というのは、政治とはちょっと違う方向で行われなくてはならないのでは?」と疑問を投げかけることでスタートした新しいグループで、聖書に基づく運営を、ということを改めて強調しているグループである。(注:これもわかりにくい要因で、「聖書に基づく」なんていう一文はどのグループにも記されているわけだから、どのように「基づく」のかが大問題なのだけれども。)教会運営の姿勢からいえば、2つの古株グループの間を行く感じであろうと思われる。

 3つのグループのうち、私自身が最もシンパシーを感じるのは"Offene Kirche"である。ドイツの福音主義教会の強みは、社会の問題を背負っていこうとするその姿勢にある、と評価しているからだ。いわゆる「信仰者の仲良しグループ」でこじんまりとまとまってしまわない、とんでもなくスケールの大きな活動のできる教会、それがこの教会の魅力であると思うのだ。
 なので、"Offene Kirche"の候補者になるべく投票したいと思っていたのだが、ちょっとだけ問題があった。一般信徒の立候補者は何と、保険会社のフィナンシャルを扱う危機管理の専門家で、この人が経済難の州教会に何かいい視点のアイディアを持ち込んでくれるかもしれない…という期待も込めて是非投票したいと思えたのだが、神学者の立候補者の抱負を読んで、これといった魅力を感じなかったのである。とはいえ、票を入れたくない、というほどではなく、ただ単にあまり特徴がないだけなので、かなり迷ってしまった。
 一方で、"Evangelium und Kirche"の擁立する神学者の立候補者が、「教会と人間を結ぶのには、礼拝だけではなくて、音楽や泊りがけ旅行などさまざまな機会が必要。それを充実させたい」といった主旨の抱負を打ち出しているのが気に入った。で、結局私自身の票は

 "Offene Kirche"の一般信徒の立候補者に2票
 "Evangelium und Kirche"の神学者の立候補者に1票

 という入れ方になってしまった。
 "Lebendige Gemeinde"に恨みがあるわけではないのだが(^^;)、彼らに過半数を取って欲しいとは思えなかった。別に信仰の方向性の問題ではなくて、経済難の州教会にあって、信仰面を重視するあまり福祉方面の予算削減をされると大変なことになるからである。信仰の有無を問わず、社会的弱者がそのツケを負うという事態だけは何としても避けなくては…と思うのだ。

 さて。朝9時~午後6時までの投票の後、ネット上の教会選挙専用サイト にて、州教会議会議員選挙の開票速報が始まった。とはいえ、ものすごい数の投票を集計するわけだから、当然時間がかかる。23時50分の時点で、まだ開票が終わっていない。さて、どうなることやら…。


 ※ 午前1時前に、ようやく開票が終了。結果は90議席のうち
     "Lebendige Gemeinde"  40議席
     "Offene Kirche"      25議席
     "Evangelium und Kirche" 19議席
     "Kirche für morgen" 6議席
   最後のグループ"Kirche für morgen "(明日のための教会)は、私の選挙区に立候補者がいなかったためちゃんと調べていなかったのだが、前回に比べて議席数を大幅にのばしている。調べてみたら、2001年に出来た「教会改革を目指すグループ」だそうだ。改革のビジョン・方向性も悪くないので、これからの活動に期待して見守ろうと思う。