Kantateの日曜日♪ | さいちゃんの教会音楽な日々

Kantateの日曜日♪

 今日はイースターから数えて4番目の日曜日。詩編98篇1節の「新しい歌を主に向かって歌え」にちなんで"Kantate"(歌え)と呼ばれている日だ。当然ながら教会音楽には最も関係の深い日曜日で、各教会で合唱団が歌うなど、それぞれに工夫を凝らした特別な音楽礼拝が行われる。

 私の勤務先、ホイマーデン教会でも例年、寄せ集め合唱団が歌うのだが…妙な行き違いが牧師と指揮者の間であったらしく、今年は完全に企画が転覆してしまった。そのせいか10代の青年達のグループがギターとキーボードで礼拝をやるので、オルガンはなしで良いとのこと。"Kantate"の日曜日に仕事がないなんてことは、教会音楽家人生において2度とないかもしれない!!てなわけで、他の教会の礼拝に行くことに決定。

 とはいえ、コンサートなどと違って「どの教会が礼拝で何をやる」というのは情報が得にくい。ネットで検索して、ようやく街の真ん中のシュティフト教会の礼拝でシュトゥットガルト・カントライが歌うらしい、と突き止めたので出かけていった。シュトゥットガルト・カントライは入団オーディションのある、ある程度レベルの高い合唱団である。


 礼拝は10時から。合唱が入るというのでいつもよりたくさん人が来ているのだろう。かなり大きい教会なのに、それなりに座席が埋まっていた。

 早速合唱で礼拝が始まる。ここの教会音楽家J氏はどちらかというとオルガンの方で有名なので、合唱はどうなのかなと思っていたが、なかなか良く歌わせていた。合唱団は前で歌っているので、J氏は指揮のときは前、オルガンを弾くときは後ろ、と大忙しで行ったり来たり。オルガンの即興の方にも力が入っていて、特殊な音階を使った即興やらトリオやら、いろいろと繰り広げてくれた。

 合唱団は礼拝中3回歌っていて、最初の2曲は聴き覚えがあったが、最後のかなり現代風の曲は全く知らない曲だったので興味を持った。雰囲気としては北欧風だが、いったい誰の曲だろう?いずれにせよ、この音階の曲をア・カペラで歌えるとは、合唱団の実力はやはりかなりのものだ。

 礼拝の最後の方で、牧師からJ氏と合唱団への感謝の言葉があったと思ったら、J氏本人が出てきて「教会音楽を支える会」のようなものが発足するから、それに年会費を払って入会してほしい、という宣伝があった。これを話しているときのJ氏ときたら、まるでやり手のビジネスマンそのものの雰囲気。教会音楽家とは、ビジネスも出来ないといけないのか、とちょっと苦笑。礼拝の後奏はJ氏自身が作曲したトッカータだった。

 礼拝が終わって教会を出ようとしたら、合唱団のメンバーが出口に献金集めに立っていたので、今日の曲目を聞いてみた。1曲目がメンデルスゾーン、2曲目がブルックナー、そして3曲目は何とJ氏自身の曲!!!道理で全く知らない曲のはずである。

 いずれにせよ、このレベルのものが歌える合唱団を持ってるっていいな、などと思いながら、教会を後にしたのであった。


 ところで、礼拝終了直後に隣に座っていたおばあさんから「きれいな声ねぇ、音楽勉強していたの?」と聞かれてしまった。仕事でなくて礼拝に行ったときぐらい、一般参加者に紛れて隠れていたいような気もするのだが、讃美歌を歌い出すといつも正体がばれてしまう。旅先で礼拝に参加してもそうなる。昔、歌が苦手で、声がなかなか出るようにならなかった私を知っている人は「え?」と驚くような話なのだが…やっぱり教会音楽を勉強して、変わったよなぁと思う。