第2回マティネーはイタリアン | さいちゃんの教会音楽な日々

第2回マティネーはイタリアン

 今日は第2回マティネー。「イタリアのオルガン音楽」がテーマのコンサートで、私のソロ。
 教会音楽大学在学中の2002年9月に、イタリアにオルガン見学ツアーに行ったのだが、その時に知ったいろいろな曲を使ってプログラムを組んでみたいと一度思っていた。折りしも足を怪我して、足鍵盤を派手に使う曲が弾けなくなったため、足鍵盤のない(又は少ない)イタリア物を弾くにはいい機会だと思って、今回に持ってくることにしたのである。ただし致命的な問題は、どうしたってホイマーデンのオルガンはイタリアンな音がしないことなのだが…_ _;
 ほとんど手だけ…ということでかなり油断して、準備がギリギリになってしまった。結構切羽詰って本番を迎えるハメとなった。

 1曲目はベルリー二の「オルガンのためのソナタ」。ベルリーニといえば、オペラ作曲家として超有名なので「え?オルガンのための曲なんて書いてたの?」てな感じだが、実は学生時代の習作が1曲だけあるのであった。ちなみに見事にイタリアオペラをオルガン版にしちゃったような曲で、派手で脳天気に弾けちゃう曲である。コンサートオルガニストの友人に「アンコールに弾いたらウケるよ」と教えてもらった曲だ。
 雰囲気は一転して、2曲目はヴェネツィアのオルガニスト、メルロの「使徒のミサ」より「サンクトゥス」。この時代のものは、慣れていない私には結構弾きにくいが、美しい曲だと思う。一度コンサートか礼拝で、全部のミサ曲を通して弾いてみたいものだ。
 3曲目はヴァレリーの「ソナタハ短調」。マイナーな曲だがとても美しい曲で、イタリアで講習会を受けた時に、先生が「この望郷の感覚、Mamma mia...!」と叫んでいたのが忘れられない。イタリア・オルガンにある、ヴォーチェ・ウマーナの音色の美しさが、この曲をもっともっと美しくしてくれるのだが、どうもホイマーデンのオルガンではこの独特の雰囲気が出ない。それでも精一杯、思いを込めて演奏。
 次はツィポリの「カンツォーナヘ長調」。これは私の十八番であるからリラックスして弾ける。ツィポリもいろいろな曲を書いているが、このカンツォーナは良く書けている曲のひとつだと思う。
 そして、マルティーニの「聖体奉挙」(←ってこれをプロテスタント教会で弾いてしまう私って…^^;)。カトリック教徒にとって、ミサの中の聖体奉挙はまさしく「聖なる瞬間」で、そのことはプロテスタントの私も承知しているのだが、実際に演奏してみるとやっぱり、プロテスタント教徒の私には感覚的に理解できない「何か」があるのをいつも感じる。カトリックの礼拝音楽は美しくて好きなのに、やはりそれだけでは信仰の壁は越えられないということなのだろうか…。
 最後、そしてメインの曲はフレスコバルディの「トッカータ第7番」(1巻)。この曲は、実はチェンバロで習ったのだが、今回オルガンで演奏することにトライしてみたのだ。思ったよりもすんなりと習ったことを思い出したものの、やはり楽器が違うのでいろいろと弾き方を研究しなくてはならなかった。弾き方に関しては、もう少し検討の余地があると思う。

 今回はなんと、前回よりも聴きに来た人の数が多かった。50人以上は確実にいて、惜しみなく拍手を送ってくれたが、私は家に帰る途中で録音を聴いて、また滅入ってしまったのだった。
 音楽を仕事にすることの一番つらい点は、精神的に全然そういう気分でなくても本番をこなさないといけない点ではないかと思う。この1ヶ月、足を怪我して家で腐っていることの方が多かったので、そんなこんなで精神的にも落ち込んでいた。それでもコンサートは容赦なくやってくるので、「落ち込んでいる自分」に負けていては、とても本番がこなせない。
 今回の出来はもちろん絶好調とはいえなかったのだが、それでも落ち込んでいる自分と戦って、ある程度の戦果(?)をおさめたという意味では、コンサートをやってよかったと言えると思う。イタリア物には、また日を改めて取り組んでみたい。